
外壁の汚れは見た目の印象を損なうだけでなく、放置すると劣化を早める原因になります。中にはブラシで簡単に落とせる汚れもあれば、専門的な洗浄が必要なものもあるため、状態を正しく判断することが大切です。今回は、外壁汚れの種類に応じた掃除方法や安全な作業手順を解説します。
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外壁の汚れはブラシで落ちる?種類別にみる落としやすさ
外壁についた汚れは、ブラシできれいになる場合とならない場合があります。汚れの種類や付着の程度によって対応方法は異なるため、掃除の前に見極めが必要です。ここでは、それぞれの特徴と注意点を紹介します。
ブラシで落とせる汚れの特徴
比較的軽度で外壁の表面にとどまっている汚れは、ブラシで落とすことが可能です。交通量の多い道路沿いでは、排気ガスや土埃による黒ずみが発生しやすく、症状が軽いうちは簡単にきれいになります。
白色や淡色の外壁に目立つ雨だれも、付着から時間が経っていなければ除去可能です。また、カビやコケも、発生から時間が経っておらず表面的な段階であれば対応できます。ただし、高所に発生した汚れは、柄の長い伸縮ブラシなど道具の工夫が必要です。
ブラシでは落とせない汚れの特徴
サビや長期間放置されて奥まで浸透した汚れは、ブラシでは落とせません。サビは金属部分の酸化によるもので、こするだけでは除去できず、やすりなどで削る必要があります。
また、雨だれやカビ、コケでも、外壁材の奥にまで入り込んでいる場合はブラシでは対応できません。高圧洗浄やバイオ洗浄など専門的な方法が必要です。
外壁掃除に適したブラシの種類
外壁をきれいにするには、汚れの種類や程度に合ったブラシを選ぶことが重要です。ここでは、伸縮ブラシ・通水ブラシ・電動ブラシの特徴と、それぞれが適している掃除シーンを紹介します。
届きにくい高所を掃除できる伸縮ブラシ
伸縮ブラシは、柄の長さを調整できるため、高い位置の外壁や軒天付近の掃除に向いています。短いもので1〜2メートル、長いものでは6〜9メートル程度まで伸ばすことが可能です。
ただし、最大まで伸ばすと力が伝わりにくく、汚れを落としづらくなることがあります。一般的な住宅の高さは1階部分で約3メートル、2階建てでは約6メートルです。そのため、伸縮ブラシでは届かない場所が出る場合もあります。
脚立やはしごを使う掃除は転倒の危険があるため、安全のためにも無理はしないようにしましょう。届かない箇所は業者への依頼を検討するのがおすすめです。
水を流しながら汚れを落とせる通水ブラシ
通水ブラシは、外部水栓にホースとブラシを接続して使用し、水を流しながら掃除できるタイプです。水をかけながらブラッシングできるため、効率よく作業でき、頑固な汚れも落としやすくなります。
使用する際は、外部水栓の位置やホースの長さを確認し、建物全体に届くように準備しましょう。手元で水の出し止めができる機能があると、作業効率がさらに上がります。
広範囲の汚れを効率よく落とせる電動ブラシ
電動ブラシには、単体で動くタイプと高圧洗浄機に接続して使用するタイプがあります。単体型はブラシ部分に駆動部品があるため重く、高所の掃除では腕への負担が大きくなりがちです。
一方、高圧洗浄機接続型はブラシ部分が軽く、広範囲の外壁掃除にも向いています。ブラシの形状はデッキブラシタイプと回転式があり、広い面積を効率よく掃除するなら回転式が便利です。
ブラシを使った外壁掃除の安全な手順
外壁掃除を安全かつ効果的に行うには、事前準備と手順の順守が欠かせません。適切な道具をそろえ、作業環境を整えたうえで、汚れの種類や外壁材に合わせた方法で進めましょう。ここでは、安全対策を含めた手順を解説します。
作業前の安全準備
外壁掃除を始める前に、ヘルメットやゴーグル、滑り止め付きの手袋、滑りにくい靴などの保護具を身につけましょう。これにより、転倒や飛び散った洗剤からの被害を防げます。
天候の確認も重要で、強風や雨の日は避けるのが基本です。脚立やはしごを使用する場合は、平らで安定した場所に設置し、補助者がいる状態で作業するようにします。
必要な道具と作業環境の整え方
作業に必要なブラシ、中性洗剤、散水ホース、バケツをあらかじめそろえておきましょう。植物や屋外設備が水や洗剤で濡れるおそれがある場合は、防水シートで覆って保護すると安心です。通水ブラシや電動ブラシを使用する際は、水道ホースや電源コードが作業中に絡まないように配置します。
水洗いによる汚れ落とし
最初に外壁全体を水で流し、表面のほこりや砂、鳥のフンなどを洗い流しましょう。水は上から下へ向かってかけると、効率よく汚れを浮かせられます。
軽い汚れであれば、水洗いだけでもある程度きれいにすることが可能です。通水ブラシを使えば、水を流しながら同時に洗浄できるため作業効率が上がります。
洗剤の塗布とブラッシング
水洗いで落ちない汚れには、外壁専用の洗剤や中性洗剤をバケツで薄め、ブラシに含ませて外壁に塗布します。作業は上から下へと順に進め、とくにサッシ周りや凹凸部分は汚れが溜まりやすいため、念入りにブラッシングしましょう。
コーキング部分は傷みやすいため、硬いブラシや強い力でこすらないように注意が必要です。カビやコケが多い部分には、専用の洗浄剤を使うとよいでしょう。
すすぎと仕上げ
洗浄後は散水ホースで外壁全体を丁寧にすすぎ、洗剤が残らないよう時間をかけて流します。外壁用の洗剤であっても、残留すると劣化を早める原因になるため注意が必要です。
汚れが落ちない場合は、高圧洗浄機や電動ブラシの使用が有効ですが、外壁材に応じた水圧調整が必要となります。同じ箇所に長く水圧をかけると塗装剥がれや損傷のおそれがあるため、判断が難しい場合は専門業者に依頼すると安心です。
作業後は外壁全体を乾燥させ、洗い残しやムラがないかを確認します。汚れが残っていれば早めに再洗浄し、きれいな状態を維持しましょう。使用した道具はきれいに洗って乾燥させ、次回も安全に使えるよう保管します。
ブラシ掃除では解決できない外壁のダメージと対応策
外壁の汚れはブラシで落とせる場合もありますが、中には掃除だけでは改善できない状態もあります。こうした場合は放置せず、適切な補修やメンテナンスを行うことが必要です。ここでは代表的な症状とその対応策を紹介します。
色褪せや変色が進んだ外壁
外壁の塗膜は紫外線や雨風の影響で徐々に劣化し、部分的な変色や色褪せが起こります。この状態はブラシ掃除で改善できません。
色褪せが進行すると、塗膜が粉状になって表面に付着するチョーキング現象が発生します。チョーキングは塗装の劣化サインであり、そのまま放置すると防水機能が低下するため、外壁塗装の検討が必要です。
ひび割れや亀裂のある外壁
外壁のひび割れや亀裂は、経年劣化や地震など外的要因で発生します。掃除によって解消できないだけでなく、水洗いを行うことで内部に水分が入り、劣化を悪化させるおそれがあるので注意が必要です。発見した場合は早めに専門業者に診断を依頼し、必要に応じて補修工事を行いましょう。
傷んだコーキング部分
サイディングの目地やサッシ周りのコーキングがひび割れたり剥がれたりしている場合、掃除では改善できません。コーキング材の劣化は防水性能の低下につながり、雨水の浸入を招く原因になります。この場合は増し打ちや打ち替えといった専門的な補修が必要です。
まとめ
外壁の汚れは、種類や付着の程度によってブラシで落とせる場合とそうでない場合があります。排気ガスや雨だれ、軽いカビやコケは早めのブラッシングで改善できますが、サビや深く浸透した汚れは専門的な洗浄が必要です。安全に作業するためには保護具の着用や天候の確認、適切な道具選びが欠かせません。ブラシ掃除では対応できない色褪せやひび割れ、コーキングの劣化は早期に補修することで、外壁の美観と耐久性を長く保てます。外壁の状態を正しく見極め、必要に応じて専門業者に相談し、適切な方法でメンテナンスを行いましょう。